こんにちは、岡山の入管申請取次行政書士、グラスルーツ行政書士事務所の田口です。
日本に中長期在留する外国人で国民年金・厚生年金の被保険者になっている方も多いのではないかと思います。
しかし、年金を受給するまで日本に在留しない方は年金を払うだけになってしまい掛け捨てになってしますのでしょうか?
そのようなことを避けるための制度として「脱退一時金制度」というものがあります。
この脱退一時金は以下のような4つの条件をすべて満たすことになれば支給されるようになります。
<厚生年金の場合>
1.厚生年金被保険者期間が6ケ月以上ある
2.受給者が日本国籍を有していない
3.既に年金受給権を有していない、もしくは障害手当金を受給されていない
4.日本に住所を有していない(住民票がない)
<国民年金の場合>
1.次の合計した月数が6ケ月以上あること
・国民年金の1号被保険者としての保険料納付期間の月数
・保険料1/4免除期間の月数の3/4にあたる月数
・保険料1/2免除期間の月数の1/2にあたる月数
・保険料3/4免除期間の月数の1/4にあたる月数
2.受給者が日本国籍を有していない
3.既に年金受給権を有していない、もしくは障害手当金を受給されていない
4.日本に住所を有していない(住民票がない)
という要件です。
手続きとしては、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に所定の請求書に必要書類を添えて日本年金機構に郵送します。
脱退一時金の支給額は、被保険者期間や報酬額によって異なりますが、おおまかには平均報酬額の約1ケ月分×働いた年数分になります。
この金額から約20%の源泉徴収がありますので外国人の方が手にする額は約80%ということになります。
但し、3年以上年金を払っていても払い戻しを受けられるのは3年間分のみとなります。
もうひとつ注意が必要なのは、日本と外国人の母国とが社会保障協定を結んでいるかどうかです。
社会保障協定とは、外国人の母国と日本で「社会保障の二重加入を防ぎ、日本と相手国の年金加入期間を互いに通算する」ということができるようにした制度です。
よって脱退一時金が支給されると社会保障協定に基づいて脱退一時金の計算の基礎となった期間(日本で就労した期間)は年金加入期間として通算されなくなります。
なので、社会保障協定を結んだ国の人は帰国後に「将来、加入期間を通算して年金として受給するか」「脱退一時金を受け取るか」を判断する必要があります。
年金支払いを拒む外国人の方がいらっしゃる場合、外国人を雇用している企業の方は就労している外国人の方に脱退一時金のことをご説明されると良いかと思います。
脱退一時金制度など、外国人の就労で質問などありましたらお気軽に当事務所までお問合せいただければと思います。