帰化申請

「帰化」とはその国の国籍を取得することを意味します。外国人が法務局へ帰化申請をすることによって日本国籍を取得できます。
正確な手続きの名称は帰化許可申請といい、英語では「Permission for Naturalization」と表記されます。
帰化申請が認められると、基本的にすべてにおいて日本人として生きていくことになります。

 

「帰化」のメリットとしては
・選挙権(参政権)の付与、さらに立候補も可能になる
・公務員への就職も可能になる
・年金、教育、福祉など社会保障の面で日本人と同じ扱いになる
・土地(不動産)の所有が容易になる
・日本の旅券(パスポート)を持つことができ、海外出張・海外旅行の際の海外渡航手続が容易になる
・ローンや仕事の資金の借り入れ等、銀行との取引・融資が容易になる
・日本人と結婚した場合、同一の戸籍に入ることができる
デメリットとしては
・母国の旅券(パスポート)が無くなり、国によっては日本からの渡航が不便になる
・再び母国の国籍を取得する事が非常に困難になる。
となります。

 

〇帰化の要件
1.住所要件
・5年以上日本に住所を有すること。
・継続して日本に在住する事が必要であり、長期または頻繁に出国する場合はリセットされます。(再入国許可の期間に関係ありません)
・当然、適法に在住することが必要であり、不法入国者は認められません。
・住所要件で一番大事なことは「定着性」です。
その外国人がこの先ずっと日本人として生活し、日本に住んでいくのかという定着性について、「ただ決心したという」主観的事情ではなく、例えば家族全員が帰化申請する等のような客観的事実について確認されます。(家族のうちの一部のみが帰化許可の申請をする場合は、他の家族が申請しない理由を提供する事が必要)
2.能力要件
・日本における成人年齢である満20歳以上であることが必要です。
3.素行要件
・素行に問題がないことが必要であり、過去の刑罰、違反や、税金の滞納状況等が考慮されます。
・過去と現在を問わず、私生活に何か後ろめたい事がある場合は、当事務所または他の専門機関に正直に相談した方がよいでしょう。
4.生計要件
・生計を営むに足りる資産または技能があることが必要です。(これは世帯単位の資産で構いません)
・申請時にはその証拠となる給料明細等が必要となります。
5.重国籍防止要件
・帰化が認められているのは、日本国籍取得によって母国籍を放棄する者、または、元々無国籍者だった者である必要があります。
6.憲法遵守要件
・暴力的活動を企てる団体に参加したことがない必要があります。
・親族などの身近な人もチェックされるのでご注意ください。
7.日本語要件
・これは法律には規定されていませんが、小学校3年生以上の日本語能力を有することが必要とされています。
・読み書きや会話について、チェックされます。

 

〇簡易帰化の要件
⇒「簡易帰化」とは、特定の者に対して帰化を認める条件を緩和したものです。
1.日本国民であった者の子(養子を除く)
・住所要件緩和:3年以上日本に住所または居所を有すること
2.日本で生まれた者
・住所要件緩和:3年以上日本に住所または居所を有し、またはその父母(養父母を除く)が日本で生まれたこと
3.10年以上日本に居所を有する者
・住所要件緩和:「住所」でなく「居所」でよい
4.日本国民の配偶者たる外国人
・住所要件緩和:3年以上日本に住所・居所を有し、かつ、現に日本に住所を有すること。 または、婚姻の日から3年を経過し、かつ、1年以上日本に住所を有する者
・能力要件緩和:能力要件は免除
5.日本国民の子(養子を除く)
・住所要件緩和:日本に住所を有すること
・能力要件緩和:能力要件は免除
・生計要件緩和:生計要件は免除
6.日本国民の養子
・住所要件緩和:1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組時に本国法により未成年であったこと
・能力要件緩和:能力要件は免除
・生計要件緩和:生計要件は免除
7.日本の国籍を失った者(日本に帰化後、日本の国籍を失った者を除く)
・住所要件緩和:日本に住所を有すること
・能力要件緩和:能力要件は免除
・生計要件緩和:生計要件は免除
8.日本で生まれ、かつ、出生時から国籍を有しない者
・住所要件緩和:出生の時から3年以上日本に住所を有すること
・能力要件緩和:能力要件は免除
・生計要件緩和:生計要件は免除

 

〇帰化申請の流れ
法務局での事前相談、必要書類のアドバイスを受ける

申請書と必要書類を法務局へ提出

法務局による審査

面接と家庭訪問・職場訪問

法務大臣による許可処分

通知(官報による告示)

帰化後の手続き

 

〇帰化申請の必要書類
・帰化許可申請書
・親族の概要を記載した書類
・帰化の動機書
・履歴書
・生計の概要を記載した書類
・事業の概要を記載した書類
・住民票の写し
・国籍を証明する書類
・親族関係を証明する書類
・納税を証明する書類
・収入を証明する書類
・在留歴を証する書類
などです。

 

〇帰化申請の許可が下りるまでの期間
1年程度

 

〇帰化後の手続き
帰化が認められた後にも様々な手続きがあります。
・帰化届
・在留カード、特別永住者証明書の返納
・本国の国籍喪失の届出
・運転免許証の名義変更
・銀行の名義変更
・日本のパスポート取得
など

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