技能実習と特定技能の受け入れ可能職種の違い

特定技能と技能実習

こんにちは、

岡山の申請取次行政書士、グラスルーツ行政書士事務所の田口です。
技能実習と特定技能で受け入れ可能な職種については大きな差があるのですが、はっきりとご存知ではない方も多くいらっしゃるのでここで整理してみたいと思います。


<技能実習>


・技能実習1号
  技能実習2号・3号の移行対象職種・作業に該当しなくても、同一作業の反復のみで修得できるものでなく、また、制度の目的である開発途上地域等への技能移転や経済発展に寄与する技能であれば、技能実習1号の在留資格にて1年以内の技能実習が認められる場合があります。


  ちなみに第1号技能実習のみ認められる技能は、移行対象職種とは異なるため、審査基準にあたる資料や職種の一覧はありません。
なお、第1号技能実習のみ認められる技能の修得等をさせる場合は、写真付きの工程表(フローチャート)の提出が義務づけられているほか、移行対象職種・作業の場合と同じく、安全衛生にかかる業務についても、同様に行う必要があります。


・技能実習2号、3号
  「移行対象職種」で認められている職種での実習が可能です。
   令和2年7月17日時点での技能実習移行対象職種は以下の通りです。
   ・技能実習2号移行対象職種 82職種148作業
   ・技能実習3号移行対象職種 74職種130作業
   https://www.otit.go.jp/files/user/docs/200717-5.pdf
  

「移行対象職種」とは、その職種に従事している技能実習生が第1号技能実習(1年以内の在留)から第2・3号技能実習(1年以上、最大5年の在留)に移行することを認められる業務であり、厚生労働省における専門家会議等を経て、省令別表(官報)への掲載をもって新規に追加されます。


 移行対象職種は「職種」という分類と、使用する機器や現場、製品の違いなどによって「職種」を細かく区別した「作業」という分類からなります。


 また、移行対象職種には必須業務(必ず従事する必要がある業務)が例外なく定められています。


 技能実習生の受入れにあたっては、必須業務をはじめとする基準に従って、技能実習計画の認定審査における業務内容の適合性、事後の立入調査の際に現場が不適正な状況に陥っていないか等の判断がなされることに注意が必要です。


 実際に外国人技能実習機構(OTIT)は、そのようなケースに対して指導の実施や改善命令、認定の取消し等を行うと周知しています。
   https://www.otit.go.jp/files/user/300621-4.pdf 


 ※移行対象職種ごとの「審査基準」
  技能実習生が従事する業務が移行対象職種・作業に該当するか判断する基準が、厚生労働省が公表している「審査基準」です。「審査基準」には職種・作業に関する細かな要件が書かれているため、監理団体の計画作成指導者から、実習実施者の技能実習責任者、技能実習指導員まで、内容の確認が必要となります。


  移行対象職種ごとの「審査基準」は、技能実習実施計画書のモデル例や試験基準の資料とともに、厚生労働省のHPにすべて掲載されています。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/global_cooperation/002.html


 ※各業務における時間の割合
  技能実習生が移行対象職種に従事する場合、業務時間の割合に要件が設けられています。すなわち必須業務の時間数が年間の実習時間全体の半分以上であること、関連業務は反対に年間の半分以下、周辺業務は3分の1以下である必要があります。また、必須業務・関連業務・周辺業務それぞれにおいて、「安全衛生業務」を設定する必要があり、時間数としては業務毎に全体の10%以上を占めていることが要件となります。


<特定技能>


 特定技能には1号と2号があります。


 特定技能1号は「一定の知識や経験を要する業務」を行う外国人が対象で、特定技能2号は「熟練した技能を要する業務」を行う外国人が対象となります。


 特定技能では以下の14業種(産業分野)での就労が可能です。
 1.介護業
   ・身体介護等
 2.ビルクリーニング業
   ・建築物内部の清掃
 3.素形材産業
   ・鋳造・金属プレス加工・仕上げ・溶接・鍛造・工場板金
   ・機械検査・ダイカスト・めっき・塗装・機械保全
   ・機械加工・アルミニウム陽極酸化処理
 4.産業機械製造業
   ・鋳造・塗装・仕上げ・電気機器組立て・溶接・鍛造
   ・鉄工・機械検査・プリント配線板製造・工業包装
   ・ダイカスト・工場板金・機械保全・プラスチック成形
   ・機械加工・めっき・電子機器組立て・金属プレス加工
 5.電気・電子情報関連産業
   ・機械加工・仕上げ・プリント配線板製造・工業包装
   ・金属プレス加工・機械保全・プラスチック成形・工場板金
   ・電子機器組立て・塗装・めっき・電気機器組立て・溶接
 6.建設業
   ・型枠施工・土工・内装仕上げ/表装・左官・屋根ふき
   ・コンクリート圧送・電気通信・トンネル推進工・鉄筋施工
   ・建設機械施工・鉄筋継手
 7.造船・舶用業
   ・溶接・仕上げ・塗装・機械加工・鉄工・電気機器組立て
 8.自動車整備業
   ・自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備
 9.航空業
   ・空港グランドハンドリング・航空機整備
 10.宿泊業
   ・フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供
 11.農業
   ・耕種農業全般・畜産農業全般
 12.漁業
   ・漁業・養殖業
 13.飲食料品製造業
   ・飲食料品製造全般
 14.外食業
   ・外食業全般


 特定技能2号は現段階では建設業と造船・舶用工業の2業種で就労が可能となっています。


法務省のHP内に「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」という資料があります。http://www.moj.go.jp/content/001293198.pdf


この中のP37以降に
「技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野との関係について」
「特定技能1号における分野と技能実習2号移行対象職種との関係について」
というところに表でその職種・作業が比較されています。


技能実習にある職種・作業が特定技能にあるとは限りませんので注意が必要です。

技能実習と特定技能の受け入れ可能職種の違い
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