こんにちは、岡山の行政書士、グラスルーツ行政書士事務所の田口です。
日本国内に在留する外国人の方が増えていますが、中には国内外の親族に仕送りするなどしている方も多いのではないかと思います。
その場合、「扶養控除」によって税金の優遇措置を受けることが可能です。
扶養できる親族の要件というものがあり、それを満たすことができれば扶養控除を受けることができるようになります。
*扶養親族とは、納税者が稼いだお金で養っている親族のことをいいます。
要件としては
・親族が日本に居住していること
⇒日本人の場合と同じ扱いになります。親族が納税者と同居していなくても大丈夫です。
・海外在住の場合は国外居住親族(日本国内に住所のない親族)として認められること
⇒その年の12月31日時点で16歳以上であること
⇒扶養者の親族である(6親等内の血族及び3親等内の姻族)
⇒納税者と生計をひとつにしている
⇒年間の合計所得額が48万円以下(給与収入であれば103万円以下)
⇒他の控除対象扶養親族になっていない
という5つを満たしていることが必要
となります。
ちなみに配偶者控除というものがあるので配偶者は含まれず、16歳未満の子どもは児童手当があるので対象外となります。
上記の要件を満たせば、親族関係書類・送金証明書等の書類を揃え、年末調整又は確定申告で申請するという流れになります。
しかし、この扶養控除はあくまでも税法上の話になります。
健康保険上でも扶養家族というものがあり、扶養家族であれば医療費の自己負担が軽減されます。
要件としては
・同居の場合
⇒年収が130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は年収180万円未満)かつ被保険者の年収の1/2未満の場合
・別居の場合
⇒年収が130万円未満かつ被保険者の仕送り額未満の場合
・被扶養者の範囲
⇒配偶者、3親等以内の親族
などになります。
今までは海外在住者でも健康保険上の扶養家族として扱われていましたが、2020年4月からその条件が変わり、被扶養者要件に「国内居住」が追加されて、海外在住の外国人親族は扶養の範囲から外れました。
これは海外在住の外国人親族の疾病・負傷などを日本の健康保険で給付をすることは保険財政を圧迫させるためです。
被扶養者として認められるには「日本国内に住所を有すること」が要件ですが一定の例外もあります。
<日本国内に住所を有しないが、例外的に被扶養者と認められる者>
・外国で留学をする学生
・日本からの海外赴任の同行家族
・海外赴任中の身分関係の変更により新たな同行家族とみなすことができる者(海外赴任中に生まれた被保険者の子ども、海外赴任中に結婚した被保険者の配偶者等)
・観光・保養やボランティアなど就労以外の目的で一時的に日本から海外に渡航している者(ワーキングホリデー、青年海外協力隊等)
・その他日本に生活の基礎があると認められる特別な事情があることで保険者が判断する者
<日本国内に住所を有するが、例外的に被扶養者と認められない者>
・「医療滞在ビザ」で来日した者
・「観光・保養を目的とするロングステイビザ」で来日した者
となっています。
健康保険上では、被扶養者の条件が変わって扶養できる家族の範囲が狭まりましたが、扶養可能な範囲の親族をしっかりと把握して控除を受けられるようにしていただきたいと思います。
当事務所では日本に在留している外国人の方のサポートを行っておりますので、お気軽にお問合せいただければと思います。